「日々の座標値」を地殻変動の研究等に利用される方へ (測量実務には特に関係ありません)




「日々の座標値」の利用上の留意点について

 国土地理院では、電子基準点で受信した測位衛星の信号(観測データ)を解析して、電子基準点の「日々の座標値」を求め、本ホームページ上で公開しています。「日々の座標値」は、その日の電子基準点の位置を、世界的な座標系に基づいて数値で表したものです。
 「日々の座標値」は、様々な理由で毎日変化するので、地図作成や測量のための基準値としては利用できません。しかし、その変化の中には、地面の動きに関する情報が含まれており、注意深く分析することにより、日本列島の広域的な地殻変動を把握し、地震や火山活動に関する調査研究に役立てることができます。
 しかし、「日々の座標値」には、シグナルである広域的な地面の動き(地殻変動)だけではなく、前線の通過や大雪といった気象の変化、上空の電離層の擾乱、周辺樹木による電波の受信障害、地下水のくみ上げ等による観測点固有のローカルな変動、アンテナ交換等に伴う人為的なオフセット等、様々な原因によるノイズが含まれており、微妙なシグナルを捉えるためには細心の注意が必要となります。
 このため、データの品質の良否に関して、周辺の電子基準点の変動量と比較する、上空視界の情報を参照する、2点間の相対的な位置関係(基線ベクトル)で調べるなど、利用者ご自身で判断の上ご利用ください。
 なお、「日本列島の地殻変動」のページでは、地殻変動以外の原因で座標値の変化が生じたいくつかの事例を紹介しています。

「日々の座標値」を地殻変動の研究等に利用される方々に役立つ情報

 下記のような情報が公開されています。以下にリンクを設けましたのでご参照ください。

国土地理院における地殻変動か否かの検討事例

○国土地理院が算出した時系列のオフセット補正量
(人為的な原因によるオフセットのうち主なものを推定したもの)

○電子基準点の保守作業リスト(アンテナ交換、伐木など)

 ・解説
 国土地理院では、観測精度を維持するため必要に応じて、電子基準点の使用機器の交換や調整、観測点周囲の樹木の伐採などを行うことがあります。このような調整作業の中には解析結果の座標値に影響を与えるものがあります。電子基準点の座標値の時系列には、地殻変動だけではなく、このような作業に伴う人為的な変化が含まれているので、電子基準点の座標値を使用する際には注意してください。座標値(測位解)に含まれるこのような人為的なずれを判断する際の参考のために、これまでに実施した各種の保守作業等のうち、電子基準点の座標に影響する可能性が高いもののリストを用意しましたので、必要に応じてご参照ください。

 ・リスト
 トップページ の「提供サービス入り口」からログイン後(ID・パスワードが必要)、地図の上にある「各種データ」を選び、 左上から3番目の「保守作業リスト」をクリック。

○電子基準点で受信の障害物を示す情報(上空視界写真)

 解説

 ・上空視界写真
 トップページ の「提供サービス入り口」からログイン後(ID・パスワードが必要)、地図の上にある「各種データ」を選び、右下の「上空状況」をクリック。