「日々の座標値(R3)」(速報解)の利用上の注意
平成27年5月1日以降の「日々の座標値(R3)」(速報解)を公開しています。
- 国土地理院では、電子基準点で受信した測位衛星の信号(観測データ)を解析して、電子基準点の「日々の座標値」を求め、本ホームページ上で公開しています。
「日々の座標値」は、その日の電子基準点の位置を、世界的な座標系に基づいて数値(座標値)で表したものです。
- このうち、「日々の座標値(R3)」(速報解)とは、観測した日の2日後に計算できる速報解(Rapid Solution)のことで、観測した週の約2週間後に提供している
「日々の座標値(F3)」(最終解:Final Solution)よりも早くご利用いただけます。
- 速報解は、最終解と同様、GPSの観測データから求められたものです。
- 速報解は、測量成果とは異なる基準に基づいているので、地図作成や測量のための基準値としては利用できません(最終解も同様です)。
公共測量には、当該基準点の測量成果をご利用ください。
- 速報解と最終解は解析方法が異なるため、同じ電子基準点でも系統的に座標値が異なります(図1)。
地殻変動の検出などでは両者を混用しないようご注意ください。
速報解と最終解を比較する場合は、電子基準点間の相対的な位置関係(基線ベクトルや基線長)で比較してください。
図1 速報解と最終解の差(電子基準点「瑞穂」)
- 様々な誤差が含まれます。
速報解や最終解には、様々な原因(気象の変化、電波の受信障害など)による誤差が含まれています。
こうした誤差については、「日々の座標値」を地殻変動の研究等に利用される方へ
をご参照ください。
速報解のご利用は、国土地理院コンテンツ利用規約に同意の上でお願いします。
- 速報解と最終解は解析方法が異なります。解析方法の主な相違点は以下のとおりです。
衛星の軌道情報(暦)の違い
観測データの解析には、観測した衛星の軌道情報(暦)が必要です。
速報解はIGSから観測した日の2日後に提供される速報暦を用いて計算していますが、
最終解はIGSから観測した週の2週間後に提供される最終暦を用いて計算しています。
解析固定点の違い
「日々の座標値」の解析では、基準とする電子基準点を1点選び、その点の座標値を固定して(解析固定点)、他の電子基準点の座標値を求めます。
速報解の解析固定点の座標値は、過去の最終解から求めたある日の座標値及び速度より算出した、観測日の座標値です(図2)。
一方、最終解の解析固定点の座標値は、その日の海外のIGS観測点を基準とする解析で算出した座標値です(図3)。
速報解と最終解の座標値の短期的な標準偏差は同程度ですが(図1)、最終解は速報解と比べてIGS等の世界的な座標系により整合した値となっています。
速報解の解析固定点は、従来、茨城県の電子基準点「つくば1」でしたが、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後に、余効変動の影響を受けないように、
鹿児島県の電子基準点「与論」に変更し、更にその後、福岡県の電子基準点「前原」に変更しました。
図2 解析固定点(速報解)の座標値の計算
図3 解析固定点(最終解)の座標値の計算
このような解析方法の違いにより、速報解と最終解の間には系統的な差が生じます。
※速報解と最終解の相違点の詳細については、
国土地理院時報(2009,118集)の
「GPS連続観測システム(GEONET)の新しい解析戦略(第4版)によるルーチン解析システムの構築について」をご覧ください。
通信回線や受信機の障害などにより、速報解を計算する際に観測データが取得できなかった電子基準点については、
後日データが取得できた場合でも、速報解の再計算や更新は行いません。このような場合は、最終解をご利用ください。
速報解は電子基準点データ提供サービスの「
FTPによるデータ取得」から
FTPでのみ取得が可能です。
FTPユーザ登録がお済みでない方は、
ユーザ登録を行ってください。
データのファイル名は、速報解も最終解も同じ名称となっていますので、ご注意ください。ファイルのヘッダに、そのファイルの種別が明記されています。