Release Notes
RINGO v0.9.2 (September, 2024)⌗
1. 新たな機能⌗
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方位角依存仰角マスク
新しいオプション"--elmaskf"を追加しました.一律の角度で仰角マスクを指定できるほか,方位角に依存した仰角マスクの指定も可能になりました.この際に使用するファイルは,gsilib photomask で用いるものと同様です.詳細はこちらをご覧ください.[link] -
ハイレートデータ (10Hz) のサポート
これまでRINGOでは1秒間隔のデータまでしかサポートしていませんでしたが,今回の更新によりサンプリング間隔 0.1 秒 (10Hz) までのデータがサポートされました. -
データ結合時に “--deepMerge” の挙動をデフォルトに
RINGO v0.9.0 で追加したオプション “–deepMerge” により,同一エポックのデータ同士を結合することが可能になりましたが,今回の更新ではこの機能をデフォルト動作としました.また,同時にタイムタグが自動的にソートされるようになりました. -
品質チェック (QC) 時の概略位置計算の追加
品質チェックを行う際に,RINEX観測データに概略位置が示されていない場合 (ヘッダーに “APPROX POSITION XYZ” が記載されていない場合) には自動で概略位置が計算されるようになりました.また, “--calcpos” フラグを指定すると,概略位置を強制的に計算することもできます.(ただし,あくまで概略位置のため,精度は数十メートル程度となります.)
2. その他⌗
- これまで設定ファイルの拡張子は “.yml” のみでしたが,どのような拡張子でも設定ファイルに指定できるようになりました.
- BINEX 及び RTCM の RINEX2 への直接変換がサポートされました.
- BINEX を読込む際に内部的に Checksum 及び CRC を検査するようになりました.もし検査で誤りが検出された場合には,当該データは出力されず,警告メッセージが表示されます.
- “rnxcsv” コマンドで QC 結果が計算できなかった場合の警告メッセージの出力を減らしました.
- データを結合した際に,結合後のデータに含まれる衛星や信号コードに応じてヘッダーの値も修正されるようになりました.
- RTCM 10403.3 (August 19, 2022) のデータ変換をサポートしました.
- RINEX で未定義のヘッダについては,結合元のファイルにそれが含まれていた場合も出力されなくなりました.
- RINEX で未定義の衛星のデータについては,結合元のファイルにそれが含まれていた場合も出力されなくなりました.
- Compact RINEX の読込みライブラリ crinex を v1.4.2 へ更新しました.これにより,異常データのチェックが追加されたほか,警告メッセージが整理されました.
3. バグ修正⌗
- BINEX を RINEX に変換する際にサイクルスリップフラグ (LLI=1) が出力されない不具合を修正しました.
- RINEX2 を出力する際に,AS がオンのデータの LLI が +4 されるよう修正しました.
- RINGO でサポートされていない衛星のデータが誤った名称で出力される不具合を修正しました.
- GLONASS のデータの品質チェックの際に,周波数番号が不明な場合にも計算されていた不具合を修正しました.
RINGO v0.9.0 (January, 2024)⌗
1. 新たな機能⌗
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新コマンド “rnxcsv”
新コマンド rnxcsv を追加しました. このコマンドにより RINEX 観測データファイルを csv 形式に変換することができます. さらに “--qcmode” オプションを指定することで qc 結果の出力も可能です. その際は, qc に用いる各線形結合の時系列やサイクルスリップフラグが出力されます. -
Compact RINEX ファイル直接読込みのサポート
Compact RINEX ファイル (“Hatanaka RINEX”) の読込みの際, 外部コマンド “CRX2RNX” のインストールが不要となりました. -
Windows Powershell におけるワイルドカードのサポート
Windows Powershell において, ワイルドカード ("*", “?”, “A-X” 等) を用いた複数ファイルのマッチングが可能になりました. -
RINEX 4.01 のサポート
RINEX 4.01 で規定された新しい信号コードをサポートしました. -
BINEX 0x7f update (2023-08-31) のサポート
BINEX 0x7f (2023-08-31 update) で規定された新しい信号コードをサポートしました. -
“merge” コマンドの新オプション “--deepMerge”
“merge” コマンドにおいて, 新オプション “--deepMerge” を追加しました. 本オプションを指定すると, ファイル結合の際にオーバーラップしている期間のデータもその分を考慮して結合し, 同エポックのデータが存在している場合は衛星・信号種別の違いも含めて結合されます. -
新オプション “--phaseshift”
各コマンドにおいて, 新オプション “--phaseshift” を追加し, 指定した値だけ位相をシフトして出力できるようになりました. -
バージョン変換時の信号種別変更機能
バージョン変換時に用いる RINEX2 と RINEX3 以降の信号種別対応付けを設定ファイルにより変更できるようになりました. -
性能向上
複数のインプットファイルの読込みや出力時の処理が高速化されました.
2. その他⌗
- 不明なヘッダーラベルが存在した場合に, ヘッダー情報をそのまま出力するようにしました.
- 一部のファイル途中にデータの中断が見られるものについて, 続くタイムタグ部分から読込めるようになりました.
- RINEX に規定されていない不明な信号種別が含まれる場合は当該データを無視するようにしました.
- データ間隔の変更時に間引かれたデータに付与されていた LLI フラグを, 次に出力するデータに付与するようにしました. この挙動は, “--ignore-skipped-lli” オプションを指定することで無効にすることができます. また, “--seconds-keep-lli” オプションで LLI フラグを保持する秒数を指定することもできます.
- “ANTENNA” に関するヘッダー情報に異常な数値が記録されていた場合には “[error]” 扱いとしていましたが, 元の値をそのまま出力し, “[warning]” を出力するようにしました.
3. バグ修正⌗
- “cal” コマンドのヘルプメッセージを修正しました.
- “qc” コマンドにおいて, 正秒のタイムタグで始まらないファイルに対し観測エポック数が 1 だけ変わってしまう不具合を修正しました.
- 衛星軌道情報ファイルに複数の “IONOSPHERIC CORR”, “TIME SYSTEM CORR” が含まれていた際に最初のものしか出力されない不具合を修正しました.
- その他, いくつかの不具合を修正しました.