RINGO v0.9.0 (January, 2024)

1. 新たな機能


  • 新コマンド “rnxcsv”
    新コマンド rnxcsv を追加しました. このコマンドにより RINEX 観測データファイルを csv 形式に変換することができます. さらに “--qcmode” オプションを指定することで qc 結果の出力も可能です. その際は, qc に用いる各線形結合の時系列やサイクルスリップフラグが出力されます.

  • Compact RINEX ファイル直接読込みのサポート
    Compact RINEX ファイル (“Hatanaka RINEX”) の読込みの際, 外部コマンド “CRX2RNX” のインストールが不要となりました.

  • Windows Powershell におけるワイルドカードのサポート
    Windows Powershell において, ワイルドカード ("*", “?”, “A-X” 等) を用いた複数ファイルのマッチングが可能になりました.

  • RINEX 4.01 のサポート
    RINEX 4.01 で規定された新しい信号コードをサポートしました.

  • BINEX 0x7f update (2023-08-31) のサポート
    BINEX 0x7f (2023-08-31 update) で規定された新しい信号コードをサポートしました.

  • “merge” コマンドの新オプション “--deepMerge”
    “merge” コマンドにおいて, 新オプション “--deepMerge” を追加しました. 本オプションを指定すると, ファイル結合の際にオーバーラップしている期間のデータもその分を考慮して結合し, 同エポックのデータが存在している場合は衛星・信号種別の違いも含めて結合されます.

  • 新オプション “--phaseshift”
    各コマンドにおいて, 新オプション “--phaseshift” を追加し, 指定した値だけ位相をシフトして出力できるようになりました.

  • バージョン変換時の信号種別変更機能
    バージョン変換時に用いる RINEX2 と RINEX3 以降の信号種別対応付けを設定ファイルにより変更できるようになりました.

  • 性能向上
    複数のインプットファイルの読込みや出力時の処理が高速化されました.

2. その他


  • 不明なヘッダーラベルが存在した場合に, ヘッダー情報をそのまま出力するようにしました.
  • 一部のファイル途中にデータの中断が見られるものについて, 続くタイムタグ部分から読込めるようになりました.
  • RINEX に規定されていない不明な信号種別が含まれる場合は当該データを無視するようにしました.
  • データ間隔の変更時に間引かれたデータに付与されていた LLI フラグを, 次に出力するデータに付与するようにしました. この挙動は, “--ignore-skipped-lli” オプションを指定することで無効にすることができます. また, “--seconds-keep-lli” オプションで LLI フラグを保持する秒数を指定することもできます.
  • “ANTENNA” に関するヘッダー情報に異常な数値が記録されていた場合には “[error]” 扱いとしていましたが, 元の値をそのまま出力し, “[warning]” を出力するようにしました.

3. バグ修正


  • “cal” コマンドのヘルプメッセージを修正しました.
  • “qc” コマンドにおいて, 正秒のタイムタグで始まらないファイルに対し観測エポック数が 1 だけ変わってしまう不具合を修正しました.
  • 衛星軌道情報ファイルに複数の “IONOSPHERIC CORR”, “TIME SYSTEM CORR” が含まれていた際に最初のものしか出力されない不具合を修正しました.
  • その他, いくつかの不具合を修正しました.